例えば壁に掛かった二つの振り子時計の振り子をよく観察すると、しばしば同じような振れ(同期)を行っているの見られます。これは、壁を通して互いに相互
作用(例えば機械的振動が伝る等)した結果同期したと理解できます。ここで重要なのは、壁は相互作用の媒体として重要であるが、その力学的詳細によらず、
一般的な相互作用であればこのような同期現象を引き起こすことが可能である点です。このことから、個別の力学系の細かな性質によらない一般論の存在が示唆
されます。事実、一般に多少振動数が異なる要素が、互いに相互作用することで同期現象を示す「引き込み転移」が見られることが理論・実験両面から示されています。その理論的枠組みは、生態系から神経生理、物理現象などでみられる同期現象に分野を超えて適用可能で、非線形現象の解明に強力な手段を提供します。 |